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カセルタの王宮とフェルディナンド4世
こんにちは!
今年は5月に入っても天気が安定せず、雨が降ったり肌寒かったり。
晴れたのを見計らって(と思ったら途中から大雨に)、レジーナ大先生と一緒にナポリ郊外のカセルタ王宮に行って来ました。
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この壮大な王宮の建設が始まったのは1752年。当時ナポリはスペインブルボン家の支配下にあり、カルロ7世の治世でした。ベルサイユ宮殿に触発されて作ったというこの王宮は、1200も部屋があり、大学や、劇場、大型の図書館も備えていました。
入り口にあるカルロ7世像。功績と美徳の神が脇を固めます。
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宮殿の最初の石を置く場面の絵 地鎮祭のようなもの?
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その後カルロ7世は、本国スペインの王位を継ぐために、王宮の完成を待たずに国に帰ってしまいます。
ナポリ王位は当時8歳の息子に譲られるので、実際にこの王宮を完成させ、住むことになるのは息子のフェルディナンド4世ということになります。これはその王位継承の時の絵で、玉座の2人がカルロとフェルディナンドです。
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フェルディナンド4世はデカ鼻王、みたいに呼ばれた、あまりハンサムとは言えない要望の持ち主でした。そのうえ父親と一緒にいられる期間が少なかったせいか、教養がなくて上品さに欠ける人だったとも。
でもナポリで生まれ育った気さくで無邪気な王様は、社交界や市民からとても愛されていたようです。
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政略結婚により彼と結婚したのはオーストリアからやって来たハプスブルグ家のマリア・カロリーナ。
彼女はひと目見て「げっ」と思ったようですが、フェルディナンドは彼女にぞっこんで、のちには彼女に政治の実権を握られてしまったりします。いずれにしろそういう事にあまり興味がなかった彼は、妻から「可愛いお馬鹿さん」と呼ばれながら、趣味の狩りに没頭していたようです。

ちょっと怖そうなおかた
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彼女が本国から持って来たマイセンの壺
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ちなみにマリア・カロリーナはマリア・テレジアの娘で、ルイ16世の妃になるマリー・アントワネットのすぐ上の姉です。
とても仲のいい姉妹だったというこの二人。夫に愛されない寂しさから浪費して国民に憎まれ、最後はギロチンにかけられてしまった妹と比べると、自分を愛してくれる夫がいるマリア・カロリーナは幸せだったのではないでしょうか。
・・まあこういうことは庶民も王女も違いはありませんけど。

さて、宮殿以上に素晴らしいのは山から流れる滝で始まる(終わる?)広大な庭園で、最奥まで3kmもあります。
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ここが最奥のディアナの噴水
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狩りをしていて偶然、水浴び中の月の女神ディアナの裸を見てしまったアクタイオンが怒ったディアナに鹿に変えられ、自分の連れていた犬にかみ殺されてしまうという場面です。
ひえ~アクタイオン可哀想過ぎ。
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さて、フェルディナンド4世はただの可愛いお馬鹿さんではなかったみたいで、王宮の北の、元は狩場だったサン・レウチョに王立絹織物工場を建設します。
そして周りには労働者のための住宅を建て、子供の教育を義務化し、女性でも男性と同等の賃金を与えるなど、みんなが気持ちよく働けるとても進んだ産業都市を作りあげました。
労働者が結婚する際は町から支度金ももらえたそうで、そういった結婚式にお忍びで出席するのを楽しみにしていたというフェルディナンド4世。いい人!

当時の工場は現在博物館になっていますが、伝統的な生地は外の工場で織られ続けています。
併設のお店にはロイヤルな柄の生地がいっぱい。
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こちらにいらっしゃったら1日はナポリの喧騒を離れて、フェルディナンド4世の作ったユートピアでのんびり過ごすのもおススメです。

Yumi

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# by zenzeronline | 2016-05-18 17:00 | おススメの旅行先
ナポリの桜
こんにちは!
ポカポカ陽気が続いているナポリです。
3月中は日本に帰っていて、すっかりブログを放置してしまいました。 ・・・でも、もう4月も半ば、そんなことは言いわけにならないのですが。
今回の里帰り、11年ぶりで日本でお花見ができるかと楽しみにしていたのですが、私が帰った頃からガクッと気温が下がってしまい、結局満開の桜は拝めずに戻って来ることに・・。
それにしても、桜の季節限定商品がすごい!
桜のお風呂やお茶やスイーツ、ハンカチや文房具・・・。見てると気分がふんわりして否が応にもお花見への期待が高まっていたのに、心残りなこと山の如しでございます。
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でも、実は私が住んでる辺りはさくらんぼの畑がたくさんあるんです。さくらんぼの季節になると採りたてを道ばたで売ってたりもするんです。

ただ、こちらの人ってその後にやってくるさくらんぼにしか興味はない様子。花を愛でる人なんかほとんどいません。
綺麗に咲いてるのに誰にも見てもらえなくて可哀想。
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もうずいぶん葉桜に。
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桜は咲いている時の美しさはもちろん、それがすぐ散ってしまうのを見ながら人生の儚さ、哀しさを感じたりします。
それは私達のDNAに刷り込まれているような感性ですが、でもこういう風に感じる国民ってあまり多くないのかもしれません。
こちらの人って、何かメランコリックなことを言おうものなら、「大丈夫だ、元気出せ!」てなことを言われるばかりだし。
そしてそういう人達にはすぐに散ってしまうような花より造花なのでしょうかねえ。
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Yumi



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# by zenzeronline | 2016-04-12 12:00 | ナポリから
肉食系で行こう!
みなさんこんにちは!こちらはあまりパッとしない天気が続いています。
この時期はもともと活気がイマイチなのに加え、しばらくセリエAの首位だったナポリチームが先週ユベントスに敗れて2位になってしまい、ナポリ人は今、とても凹んでいるのです。
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ちなみに初期の古代ローマ暦では、1年は3月から始まって、1月と2月は無かったとか。
そのせいで7番目を表すSeptemberは9月、8番目を表すOctoberが10月・・・となっているそうな。
その頃は1年は300日とちょっとしかなくて、12月の後の寒くて雨が多くて農耕に適さない期間なんかいらない!ということだったらしいんです。
新年とは、暦に存在しない60日間をどんより過ごした後、春の始まりと一緒にやってくるものだったワケで、寒い冬のまっただ中に1年が始まるよりもこちらの方が人間の感性にあっているような気はしますが。
この時期、イタリア人がなんとなく不景気な顔でボーっとしているのは本来は存在しなかった月を生きているからかもしれません。

さて、そんな時にはせいぜい精力つけましょうよ、ということで、先日、ナポリ郊外にあるレストランに行って来ました。グルメな友達の行きつけのお店です。
大きなお肉屋さんの片隅に小さなレストランが併設されているのですが、想像してたよりエレガントなお店でちょっとビビりました。
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よくあるチーズやサラミ類の前菜盛り合わせですが、ひとつひとつが深みのある極上の味。チーズと一緒に食べるジャムや蜂蜜に至るまで絶品でした。
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これはラディッキョというチコリの仲間の野菜をグリルした物。面白い食感です。
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タルタルステーキやカルパッチョを食べられるところって結構少ないんです。
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この後は巨大なステーキが3種。メインなのにエキサイトしすぎて写真撮るの忘れてしまって・・。
こういうもん食べてるからこっちの人達ってテンション高くてアグレッシブなんでしょうね。
私もお肉がっつり食べてこの人達と渡り合って行けるようにがんばらないと。

Yumi


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# by zenzeronline | 2016-02-20 22:00 | ナポリから
ミミのこと
みなさんこんにちは!
今回は私の義父、ミミについて。
ミミとは、ドメニコというイタリアには多い名前の愛称で、家族や友達から彼はミミと呼ばれているんです。
こんなじいさんがミミ、と最初は笑ってしまいましたが。
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ミミはナポリの北にあるカセルタ県のマッダローニという小さな町で8人兄弟の中に生まれます。
大きくなると父親の手習いで仕立て屋の仕事を始め、一人前になると同じ町の女の子と結婚し、子供が次々と生まれます。ナポリに工房を開いて、しばらくはマッダローニとナポリを往復する日々でしたが、40代になると、妻と8人の子供を引き連れてナポリに引っ越してきます。
腕もよく、時期も良かったおかげで仕事はまあ順調だったみたいですが、あまり妻や子供をかえりみず、当時から好き勝手なことをしていたようです。

一家10人の暮らしを支えてきた足踏みミシン
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工房はにぎやかなダンテ広場の近くにあったので、私もよく寄ってお茶を飲んだり友達を連れて行ったりしたものでした。
日本人の嫁が来てからは、日本人に親近感を持ったようで、突然、「この人がもうお昼を食べたか聞け!」という電話があったりしました。「なんで?」と聞いても、「いいから聞けばいいんだ!」と。
道行く日本人観光客にご飯をご馳走したかったらしく、「まだだって」と言うと、「じゃあ、俺のとこで食べていけと言え!」と。
親切な話だけど、義父にしてもその捕まった人にしても、そんな単純なことすら分かりあえない相手と一緒にご飯食べて、なにが楽しいんでしょうか。
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この1月で90歳になったミミ。
耳も全然遠くないし、ウンザリするほど呆けていません。
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今では孫が15人、ひ孫が5人いる大家族のドンですが、いつまでも自分が仕切らないと気が済まない性格ゆえ、みんなうるさがってあまり寄りつかなくなってしまいました。
でも私には最初から優しかったし、遊びに行けばすごく嬉しそうに迎えてくれる、愛すべき義父です。料理も上手で、私はこの人からいろんな料理の秘訣を教えてもらったものです。

苦労かけ続けの義母と
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結局誰も後を継がず、数年前に工房も閉めて殆ど一日中郊外の家にいるミミ。家でもいつもネクタイを締めているダンディーな彼は、都会人の自分はこんな田舎のジジイ達とは付き合えない、と決め付けているため、近所に友達もできません。
そんなワケで退屈して義母や子供たちに当たり散らして、ますますみんなから敬遠されているのです。

イタリアにも「雑草は死なない」という、憎まれっ子世にはばかるみたいな諺があるので、この人も当分は元気でいてくれることでしょう。
・・・言葉が違うのもいいもんですね、こんなこと書けて。

Yumi

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# by zenzeronline | 2016-01-24 20:00 | ナポリから
今年もよろしくお願いいたします。
あけましておめでとうございます!
おかげさまで、昨年もたくさんの人との出会いのある充実した1年でした。
怠け者の私を引っぱってくださる周りの方々に感謝です。

年末年始は、いつものようにクリスマス期間は親戚の家で過ごし、大晦日は日本人妻友達&その家族を呼んでワイワイ過ごしました。
クリスマスの飾りもあまりない殺風景な私の家ですが、テラスからはカウントダウンの花火がよく見えます。
絨毯爆撃的ナポリの花火。これ殆ど一般の人が上げてるんです。だから毎年ケガ人続出。


この日は、みんながいろいろお料理を持って来てくれたおかげでなかなか豪華な宴となりました。
これもそのひとつ。コテキーノとレンズ豆をマッシュポテトのバスケットにのせたもの。
今年もよろしくお願いいたします。_e0224461_6584524.jpg

コテキーノというのは、豚肉を脂や皮と一緒にミンチにして太い腸詰にしたもの。
捨てるような部分も全部使う、もともとは貧しい人達の料理だったようですが、大晦日には欠かせない一品で、その形からお金を象徴するレンズ豆と一緒にカウントダウン時に食べると縁起がいいと言われているんです。
日本の年越しそばのようなものですね。同じ時に食べるにしてはこってりですが。
このコテキーノ、夫の親戚はみんな好きじゃないので、私もまともに食べたことがなかったのですが、もっちりした食感といい、シンプルな塩味といい、なかなか美味しい。そしてコラーゲンがいっぱいだから元旦のお肌はぷるぷるに!
今年もよろしくお願いいたします。_e0224461_6592253.jpg

同じくこの時期によく食べるバッカラという塩漬けの干しダラ。水に何日も漬けたりして結構手間がかかります。
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こうしてイブ、クリスマス、その翌日のサントステファノの日、大晦日、お正月と食べ続け、多少お肌がぷるぷるなったくらいじゃあ取り返しのつかないことになっているのです。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

Yumi

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# by zenzeronline | 2016-01-04 22:00 | ナポリから



旅行会社 ZENZERO のレジーナとトニアが、南イタリア情報をお届けします。
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