このところ毎日お天気のナポリ。日曜日の今日は夏を待ちきれない人が早くも海岸で日光浴していました。
さて、アマルフィ海岸のマイオーリから背後の急な山道を上がったところにトラモンティという村があります。 Tra (間)Monti(山々)という名前の通りの、山の中の小さな村です。 知らないと通り過ぎてしまうような場所ですが、ここは食の宝庫でもあり、レモン農家、牛や羊のミルクで作るチーズ工場、ワイナリーなどがいくつもあります。 先日、山の中にひっそりと隠れるようにたたずむワイナリー、Tenuta San Francescoにおじゃましました。 ここで作られるワインの葡萄は、遠くにアマルフィ海岸の海を見下ろす海抜300~500mの山の斜面に育ちます。大きな機械が入れない急峻で狭い耕地の為、栽培や収穫はほとんど人の手で行われます。 土着の品種「ティントーレ」。樹齢何百年も経つ木で、現在のイタリアでは珍しい、大きく枝を這わせる棚作りで育てています。 このティントーレ、ほぼトラモンティだけで栽培されている珍しい葡萄なんです。 1800年代の半ば、アメリカから持ちこまれた葡萄の木についていたフィロキセラという害虫があっという間に広まって、ヨーロッパ全土の葡萄の木は壊滅的なダメージを受けました。 これは、葡萄の栽培法を変えてしまう程の出来事で、それまでは普通に一本の木で葡萄を育てていたのが、根っこに寄生して枯れさせてしまうこの害虫の被害を避けるため、それ以降はこの害虫に抵抗力のあるアメリカ産の株にそれぞれの土地の葡萄の木を接ぎ木する、という方法が一般的になりました。 ただ、この辺りは、ヴェスヴィオ火山の噴火による軽石のような土壌が害虫の繁殖に適さなかった為、ティントーレ種は災害を生き延びたそうです。 ワイナリーの中に入ってみましょう。 2004年創業の若いワイナリーです。それ以前はずっと葡萄の栽培だけをやっていました。 親族経営なので、女性の手がたくさん入っていて可愛らしい併設のレストランの一角。 ここで試飲やお食事もできます。 このワイナリーでは、ティントーレを初め、アリアニコ、ピエディロッソなどで作られる赤及びロゼ、ファランギーナ、ビアンコレッラ、ペペッラなどで作られる白の計6~7種類のワインを醸造しています。 そしてこれが例のティントーレ種だけで作られた赤ワイン。フィロキセラ以前のティントーレ、と書いてあります。 È ISSはナポリ方言で「コイツだ!」みたいな意味。濃厚でガツンと来る風味です。 色が濃くてほとんど黒に近いという野性的なティントーレ種の葡萄。次回は収穫時期に来てみたいと思います。 Yumi zenzeroでは上記ワイナリー“Temuta San Francesco”や小さな家族経営のモッツァレラ工場を訪問するツアーを企画しています。 アマルフィ海岸と組み合わせたコースも可能です。 お問い合わせはこちらまでどうぞ。 www.zenzeronline.it にほんブログ村
by zenzeronline
| 2015-04-12 21:07
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